私はもうすぐ24歳になる。
24年間っていうと、それはもう大した年を生きたと思う。もう十分じゃないか。いや、十分じゃない。私は貪欲なのだ。
しかし最近、24歳にもなるのによく泣くようになってしまった。その対象は例えば、庭の山椒についた幼虫の成長だったり、小学校の運動会のリレーで、最下位になっていることなど気にも止めずに懸命に走る小学生だったり。手紙から伝わる気持ちに触れた時や、今朝の新聞の四コマだったりする。
驚きや、真剣さや、喜び、嬉しさといった自分以外の誰か(何か)から何かを受けた時の、自分の反応の副産物として、涙がくっついているんではないかと思っている。けど、本当はどうなってるのかわからない。わからないのがいいね。
とりあえず、出そうと思って涙が出るんではないことは確かだ。
そんなよく泣く24歳になりそうな自分は、いったいどんな人間なんだろうか。
たらこ三姉妹の長女。父と母の娘。大工仕事をしている。海で遊ぶ事が好き。椎茸はまだ食べられない。好きな人がたくさんいる。猫がよく寄ってくる。一年か二年ぐらい前に作ってもらった指輪は、釣れたての太刀魚の腹みたいに銀光りしていて、気に入っている。よく泣いて、よく寝て割と短気だ。そんな要素がたくさんあって、それぞれ私の中で占めている比重は違う。年と共に変化したものもあるし、ずっと変わらないものもある。
昔から、全然変わってないね。と、付き合いの長い人からよく言われる。
見た目も中身も確かに変化しているはずなのに、変わらないものっていったいなんだろうか。
それが、私を私たらしめる核なのかもしれない。
それを私はまだ知らない。