今何してる?

たらこ三姉妹の交換日記です。

Netflix「軽い男じゃないのよ」Je ne suis pas un homme facile

長い間お待たせしていました…ごめん………(びっくりするくらい書いてなかった…初夏が秋の初めになってしまった……)

 というわけで待たせに待たせて最近みた映画の話をしたいと思います。

 今年は結構映画を見てるたら子。大学の図書館で空きコマに映画を見てみたり、大学の近くの映画館に行ったり、地元に帰ったら帰ったでお気に入りの映画館に行ってみたり…あとはやっぱりNetflix。便利ですね。いっつもみてる。(しかしここ数ヶ月NetflixJapanがやってることはちょこっと気になるので契約続けるか考え中…他にいい映画ストリーミング配信してるとかあります…?)この前映画館にいって見た「新聞記者」なんかは最高でした。あれ見てみんなで語り合いたい。(わたしと本当にこれを実行したい方は連絡ください📞)本当に最近いい映画とたくさん出会ってる。最高ですね。

そんな中で!特に!

たら子的運命の出会いをビビビッとしてしまった作品がありました…そう。題名にもなっているこちら。

「軽い男じゃないのよ」

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Netflixオリジナル作品の映画です。夜中にお友達とネトフリ新作いいのあるかなーってぽちぽち見ていたら見つけました。簡単に言うと「上の写真の男性が電柱に頭ぶつけて起きてみたら男女のジェンダーが逆転した世界に来ちゃってた。」映画です。

……………ん?

ここら辺でビビビッと来る人いるのではないでしょうか。ジェンダーフェミニズムを語るとき必ずでてくる手法に"ミラーリング"があります。例えばこちら。

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出典元の説明によるとこちら、「出勤前の会社員男性を見送る妻のイラスト」、とのこと。あまり違和感感じる人はいないですね。これがこうなったらどうでしょう。

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ふむ。こちらは「出勤前の女性会社員を見送る夫のイラスト」とのことです。たら子はあまりこれをおかしいとは思わないのですが確かに一般的な感覚では「夫婦の日常をイラストにしてください!」と依頼を受けたら1枚目のような役割で描いてしまうかもしれません。でも女性が専業的に働いていてもなんらおかしくないですよね。

こうやってその人の意思とは別のところで、性別によって決まってしまう役割のことをジェンダー(日本語では社会的・文化的性別などといったりする。)といいます。そんな凝り固まった概念を崩そうとする人たちがよく使うのが「ミラーリング」です。例えば、日本で痴漢被害に遭った女性がよくかけられる言葉として「そんな服を着てるから痴漢なんかにあうんだ。」などの言葉がかけられることがあります。落ち着いて考えて、被害者がどんな服装をしていても体を触っていいことにはならないですよね。しかし、どうも今の日本社会ではこれがまかり通ってしまう。この日本における痴漢被害者の女性の立場を男性に置き換えて表している!と話題になった動画があります。

Hina on Twitter: "レイプ被害にあった女性にたいし、「服装に問題があったのではないか」「なぜ助けを求めなかったのか」「飲酒していたから女性にも責任があるのではないか」というような質問がいかに馬鹿げたものであるか。セクシーな服を着ていること、声を上げなかったこと、それらは同意を示すものではありません。… https://t.co/iqePKpF9KI"

「そんなお金持ちみたいな格好をしているから強盗に合うんだ。」と責め立てられる男性。おかしいですよね。同じように痴漢被害者女性を服装によって攻めることはおかしいはずなんです。普通なら。そのおかしさを男女逆転させることによって簡単に可視化することができる。それがミラーリングです。

 

そんなミラーリングが超絶惜しげも無く使用されてるのが映画、「軽い男じゃないのよ」です。

主人公のダミアンははっきり言ってクソ男。超遊び人。すれ違った女性はすぐ口説くし、職場の女性にもセクハラざんまい。そんな彼がしょうもないことで電柱に頭を打ってしまいます。どうにか起きあがってみると…なんとまあ

ジェンダーが逆転しているではないか。

夫婦間で働くのは女性、家事をするのは男性。着飾ったり脱毛したりするのは男性。男性たちが権利獲得のための運動をしていたり……。そのほかにも書ききれないくらいの細かさで男女間のジェンダーが逆転している。社会的地位がひっくり返っているので、「男性の医者は医者と呼ばれ、女性の医者は女医と呼ばれる」みたいなのもひっくり返ってるわけです。(仕事が細やか……)そんな中で最初は戸惑い、反発するダミアンもだんだん適応し始めます。脱毛に通ったり…。そして友人の紹介で女性小説家のところで秘書をすることに…ダミアンはそこで恋をし、彼女との関係に悩んでみたり、泣いてみたり……よく恋愛映画で女性がしていることをダミアンがしているわけです。そして紆余曲折あり最後のシーンはなんとも言えないものでした。

お友達とみたんです。どうする?明日朝起きたらこうなってるかもよ。とか言いながら。本当にこうなったらどうなるんだろうなあ。わたしはどんな人間として生きてどう振る舞っているのだろうか。

 

もしこの映画を見て「女性たちはひどい!ダミアンがかわいそうだ!」と思うのであったら、現実社会の女性たちも同じように苦しみ、悩んでいると言う事の裏返し。そして自分の心の中に「女性はそう言うもんだから仕方ない。」と思っている事の裏返しなのでは…?とたら子は思ったのでした。

 

たら子的にはこの映画のアジアバージョンが見たい。もっと近い文化圏でこの映画が作られたらどうなるだろうか…。とずっと妄想しています。ミラーリングは韓国のフェミニズムコミュニティでも使われてた手法だからアジアでも作ろうと思ったら絶対できるはず。とりあえず需要はありますよ!(私に)

 

「82年生まれ、キムジヨン」の映画予告もついに公開されましたね。韓国での公開は10月とのこと。(今月やん!)早く見てみたいなあ。とワクワクしています。

たら子的最近のおすすめ本はちょっと前に発売された河出書房新社の「文藝2019年秋号」です。

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表紙の通りフェミニズム特集。「82年生まれキムジヨン」の作者である、チョナムジュさんの作品やハンガンさんの作品なども載っていて超ボリュームのある一冊…。創刊以来86年ぶりの3刷となったそう……。こう言う特集もっとみたいなと思ったたら子でした。