今何してる?

たらこ三姉妹の交換日記です。

最近読んだ本について、姉二人の会話

ちょうど一週間前の夜、姉二人の会話・・・

某姉1:ねえ、ブログ、ゲリラ更新する?

某姉2:ああ、いいねえ。もう絶対TRK氏は忘れてるよね。我らの存在。

某姉1:Hahahaha(爽やかな笑い)。

・・・・・・

と、ゲリラ更新しようと思ってモタモタしていたら、勘付かれた!

しかし、私たちが夜な夜な話し、文字起こしをしたものが闇葬られるのは納得がいかないので、ほとんど無意味となったこのゲリラ原稿をお送りします。

 

み:何読んだ?
よ:「BlackBox」。伊藤詩織さんの本。
み:どんな本?
よ:何年か前になるけど、伊藤詩織さんて人が、レイプに遭ったの。しかも、結構権力を持っている人から。そしたら当然レイプした人を逮捕するよね。だけど、警察に何らかの圧力があって逮捕できなかった。逮捕できなかったけど、詩織さんが顔と名前を出して世間にこのことを公表したことで「MeToo運動」が日本でも広まっていった。現在も、WithYouという言葉が広がっていったり、Kutoo(職場でのパンプス・ヒールの矯正をやめよう)という運動が始まったり。
み:WithYouって?
よ:被害者に寄り添う、というか。一緒にいるよっていうメッセージ。
み:MeTooは?
よ:私も、って意味。
み:その本は自分で探して買ったの?
よ:ううん。知ってたんだけど、ずっと買えずにいて、知り合いにそのことを話したら、送ってくれた。で、この本は、出版されてすぐヒットしたんだけど、私やっと最近になって読めた。
み:私、初めて聞いたけどね。じゃあBlackBoxは、その人が公表したことを書いてるの?
よ:そうやね。レイプに遭ったとき、遭う前、遭った後、それがすごく生々しくか書かれてる。自分がレイプに遭ったら、その後すぐ何をすべきかってこともしっかり書かれてる。
み:日常会話でさ、やっぱ日本は安全だよね、平和だよねってのがよくあるの。本当の今の現状に目を背けがち。そういう会話。暮らしやすいよね〜治安はいいよね〜とか言ってる時ってだいぶ高いところにいる気がする。
よ:高いところっていうのは目線が?
み:それもそうだし、立ち位置も。あ、一緒か。
よ:これを読んで思ったのは、まず自分は被害者じゃない、被害者になったことがないってこと。だから、どうしても手が届かない感覚っていうのはあるんだろうなと思う。被害者にしかわからないことがあるんだと思う。だけど、やっぱ、想像力。あれと一緒だよね、僕らは戦争を知らないのでよくわかりません、っていうのがあるけど、そんなんだったらみんな戦争経験しないとダメだって話になるよね。そんなん言い訳にしかなんない。
み:それ言われたら、もう呆然としてしまうわ。わかる気は無いです、って言ってるのと一緒だよね。
よ:そうそうそう。わからないかもしれない、いや、わからない。だけど、わかろうとするか、いかに歩み寄れるか。
み:よ:寄り添えるか。(まさかのハモる)
よ:この間、福島のことに関わってる人がね、「被害者だから言えること、被害者じゃ無いから言えることがある。どっちが言ってよくて、どっちが言っちゃいけないとかは無い。どっちもがそれぞれの立場から言えることを言っていくのが大事」って。
み:それ私も(その話の現場に)いなかったっけ?
よ:いたわ!!
み:(苦笑)
よ:(笑)

よ:じゃあ、たらみは最近何読んだ?
み:めっちゃいっぱい読んでるんだよね。実は。あ、最近、ずっと欲しかった本を手に入れたんだよね。写真集なんだけど、「山羊の肺」っていう名前。平敷兼七って人の。2年前、沖縄をバイクでキャンプ旅してる時に、ジュンク堂で見つけたんだけど、名前がすごい良いなって思って。中見てないのに。それから長い月日が入って、ようやく買ったのね。で、すごい奇跡的なんだけど、これ沖縄の本なのよ。石川真生さんと岡本太郎さんの沖縄の写真集は見たことあるんだよね。それは、テーマがあるというか、メッセージ性が強いように思った。この本は全然違うなって思ったんだよね。
これは日常の風景。浦添とか那覇とか、高江とか辺野古があるんだけど、南大東島があったり、伊平屋島があったり。何かに対するものじゃなくて、その時の沖縄がある。すごい不思議な本。
み:じゃあさ、取るに足らないような、どこにでもあるような。大切に図書館にしまわれてる写真じゃなくて、どこにでもあるけど、時代とともになくなっちゃったような、ありふれすぎて大切にされてこなかった写真みたいな?
よ:これ読んだの?笑 これ撮った時は、別になんてことない写真だったんだけど、今になって、あの時の沖縄が見える。でさ、すごい不思議なのが、山羊の肺ってすごい良い名前だと思うんだけど、何でそれにしたのかわからない。
よ:じゃあさ、肺と関係ないの?
み:肺もヤギも一枚も出てこないしね〜
よ:ええ!

(その後、本を読み返したところヤギの肺がありました。すんません。)

み:全く思いもよらんところで沖縄があったから、すごい不思議だったんだよね。北海道にいたら、沖縄が遠くて仕方ないんだよね。でもなんか、、、やっぱり縁があるのかなあ。と勝手に思うたらみでした。
よ:終わらないでね(笑)
み:「麦ばあの島」って本読みたいんだよね〜
よ:何それ
み:知ってるでしょ?知らないはずはないと思うよ
よ:知らない
み:え、どんな本?
よ:愛楽園(一緒に)行ったの覚えてない?麦ばあの島は、ハンセン病の漫画って言ったらざっくり言い過ぎだけど、ハンセン病の漫画なのよ。幻の漫画。骨董品レベル。その辺の本屋にありません。
よ:アマゾンにも?
み:アマゾンにはある。一冊4500円。
よ:え!
み:買ったら送ってあげる。
よ:いや自分で買うよ。
み:いや、買ったらなくなるやん。
よ:あ。
み:そこはたらこ三姉妹で回し読みするしかないっしょ。BlackBox送ってね。
よ:うん。

み:あと、「太陽の子」読み直した。もう4回目くらい。
よ:太陽の子さあ、読むたんびにさ、鳥肌立つよね。あのさ、最後の方の、お風呂場で蛾が夜中にバタバタバタして、最後音しなくなるとこ。
み:灰谷健次郎さんの本さ、今すごいあるんだけど、兎の眼とか、天の瞳とか。最近涙が出る。
よ:天の瞳さ、最後さ、ええええ!ここ!ここでかい!ってなるよね。
み:本当にもう誰もここ原稿つながずに、ブチって切れてるもんね。もう亡くなってるんだよね。何かの本で読んでんだけど、魂が強い人間は神様がそばに置きたがるから早く死ぬんだって。
たらよにとって神様って何?
よ:神頼みとかあるけど、言っちゃえば全部自分次第なんだよね。だから神様はいるとは思うけど、手を貸したりとか、まあ反対に罰を下したりとかもしない・・・ああ、罰を下すことはあるかもな。何だろうな。なんかさ、神様よりもどっちかというと先祖崇拝派なのね。で、親戚でもないけど、すんごい頼りにしてた人がいて、なんか体とか心のことで困ったらその人に連絡するってくらい、すごく頼りにしてた人がいて、その人が何年か前に亡くなっちゃったのね。で、2年くらいかなあ。お参りにも行けてなくて、でも何かあると、例えばちょっと事故に遭いそうになった時とか、ふっとその人が脳の中に出てきて、うわあ、また助けてもらったなあ、みたいな思ってたのね。で、去年やっと家族でその人のお家にお参りに行ったの。そしたらさ、その後からその人が、というかその人の顔が出てこなくなった。いや、名前とか、存在とかは出てくるんだけど、すぐそばに立ってくれてる、その鮮明な姿、っていうのが現れなくなった。
み:何でだろ。何でだろうね。
よ:自分の気持ちがすっきりしたから、だけでは言い切れない。そう言いたくない。お参り行ったから、もう考えないでいいとか、そんなことは毛頭なくて。何だけどね、、、
み:話聞いててふと思ったんだけど、儀式とかさ、祈りとか、形式だけが残ってるような気がしててさ。お祭りとかさ。みんながみんな同じものを信じるんじゃなくて、それぞれ思うものが違うからなのかなあって思った。儀式への思いがみんな違うから、そういう風に見えるのかもしれないなって思った。形だけに見えるっていう、その見え方自体ももしかしたら違うかもしれないけどね。私は、とっさの時神様のかの字も出てこない。

軌道修正〜

よ:じゃあ、最近の、これは読むべし!本を紹介しよう。私は、「はじめての沖縄」ですね。これはすごい。
み:好きなだけ語ってください。
よ:岸政彦さんて社会学者が書いてる本。序章の一文がものすごい。「差別するということは、一緒くたにすることである」って。どう?
み:(復唱)初めて聞いた。言い切ってるね。
よ:まあ、おおざっぱに言うとって言う前置きがあったけど。
み:これ読んでビビっときたの?何で?
よ:なんか、差別の根源はみんな一緒、って言う人もいるじゃん。でも、私の脳の中の差別はあちこち転がってて。バラバラでね。整頓されずに。だけど、この一文で、一本の紐が全部の差別をつないだと言うか。
み:繋がったってこと?
よ:うん。
み:たらよの中に差別ってものがいっぱいあったんだね。ちなみに読み終わったの?
よ:うん。これはね、きっとね、何度も何度も読む。
み:それはかなりすごいことだね。読むたんびに出会いがあるってことだ。これぞと思った一番の理由は?
よ:これ。もうこの一文に尽きる。新しい言葉をもらった。いや、感覚としてはあったんだろうけど、名付けてなくて、そこらへんに雑においてた気持ちがちゃんとものとして認められたと言うか。言葉があるってそのものが存在する理由になる。逆に、言葉がなければ、それはないってことじゃん。例えば、肩こりって言葉ね。知らなければ肩こりはないわけよ。感覚としてはちょっと肩がだるいなとかはあっても、肩凝ってると言う明確な痛みにはならないじゃん。
み:たらよの場合は、全くないんじゃなくて、あるのはわかってたんじゃない?新しい言葉をもらったって言うか。感覚はあったけど、言い表せなかった。名前をもらったみたいな感じじゃない?赤ちゃんて生まれた時名前ないじゃん。いるけど。ないけどいるじゃん。
よ:意識の違いかもな。名前があると、明確に意識できる。いやあ、ぜひ読んでください。で、たらみさんは?
み:「ボタ山のある僕の街」っていう本かな。山口勲さんの、写真集なんだけど文もいっぱい入ってる。
よ:何で手にしたの?
み:図書館で、パラパラってめくって、すごいいいいと思って買った。すぐに。全国の図書館にあるわけじゃないと思う。
よ:大体の説明を。
み:何でこの本をいいなって思ったかって言うとね、海外旅行に行ってさ、自分の国を知るってあるやん。ずっと日本にいるんだけど、人生の半分以上を過ごした街のことを考えたこともなかったんだよね、ずっと。で、自分の生まれたところがどんなとこだろう?って沖縄にいる時に考えた。そん時に、八幡製鉄所があるんだ、そういえば盆踊りに炭坑節って踊るよなあって。炭坑、、、炭坑の町だったんだあ。って。
まあ、そう言っても今は普通の住宅街だし、そんなの口にしても全くわからないんだけど。よく見るのはさ、炭坑の事故の悲惨さとか、こう言う道具を使っていたって言う展示とか、八幡製鉄所が七色の煙を吐いたとか、公害の町とか。さっきの「山羊の肺」と被るけど、そん時生きてた人の暮らしがこの写真集にはいっぱいあった。撮った人も炭坑で生まれて、炭坑で生きてきた人。全く違うところから来た写真家じゃないんだよね。そこで暮らしてそこで生きてきた人なんだよね。
自分と全然違う立場の人をあーだこーだって言うのは簡単なんだけど、実際に相手の気持ちになるって相当難しいことやと思う。相手のふところに行かないとわからない。自分の土台になった町。知らなかったし、いいイメージもなかったんだけど、そう言うところで生きて暮らしてた人たちがいるって言うのが。。。買ったのは、写真に写る人たちがいい顔してたから。「仕事しとる人、風呂に入っとる人、路地で赤ちゃんあやしてる人、遺体になって棺に入ってる人も、全部自分の姿ですよ」。すごいよなあ。羨ましい。
誰かがいってた、自分のルーツを旅するのもいいですって。多分これがたらみの旅の始まり。

 

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長らくのご清聴、いや、ご清読をありがとうございました。
読書の秋、ぜひぜひ良い本に出会ってください!そして、我々に「良い本あったよ!」報告もお忘れなく。

それではまた〜
今度は3人で喋りましょ〜う。

 

 

って原稿作ってたら、たらこに先を越された二人であった。ちゃんちゃん。

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